食品はどう選ぶ?知っておきたい農薬のメリット・デメリット

農薬は農業にとって必要不可欠なものである一方「本当に安全なの?」「無農薬のほうがいいのでは?」と感じる方も多いと思います。
この記事では農薬とは何なのか、農薬のメリット・デメリットについて解説します。
日常に取り入れる食べ物を、どのように選べばいいのかの参考になれば幸いです。

目次

農薬ってなに?

農薬とは、殺菌剤や殺虫剤・除草剤・殺そ剤・誘引剤など、農作物を病害虫や雑草から守るための薬剤です。
昔から農業と虫とは切り離せない関係にあり、農業従事者は常に農作物に被害を与える虫や雑草に悩まされています。
さまざまな対策が行われる中、農薬は労力が少なく一定の効果が得られるため、大量生産が必要な現代において、広く利用されるようになりました。
また、農作物の生理機能の向上・抑制をする・植物成長調整剤などの薬剤も、農薬と定義されています。
さらに、薬剤ではありませんが、病害虫の天敵である生物や微生物をうまく利用して防除することも「生物農薬」として農薬とみなされています。

農薬の目的

農薬を使う目的は一言でいうと「品質の良い農作物を安定的に供給する」ことです。
かつて日本でも、病害虫による稲の不作により多くの人が食料不足で餓死する事例がありました。
食べるものが豊かにある現代からは想像しづらいですが「農薬」の使用により、食べ物が不足なく供給されるようになったのです。

農薬を使う3つのメリット

農薬を使うことは、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。

収穫量が増える

農薬の使用により、農作物が虫の被害を受けることが少なくなると、収穫量が増加します。
実際に無農薬で育てた農作物の収穫量は、大きく下がるという調査も行われています。
また、成長調整剤により果物の実を大きくしたり、成長抑制剤で稲を倒れない長さに調整することでも収穫量が増加するようになりました。

収益量が増える

収穫量が増えることは、収益が増えるということです。
農業も商売である以上、多くの収益を出す必要があるので、農薬の使用による収益の増加は大きなメリットになります。
特に果物や葉物野菜などは、収穫できても虫食いがあれば商品価値が下がります。
そのため、商品価値を上げるためにも、徹底的に虫を防除する農薬が必要なのです。

防除に手間がかからなくなる

農薬は、一般的に薬剤を田畑にまくという作業だけで完了します。
広大な敷地を持っていると、トラクターで畑に薬をまくだけでもかなり時間はかかりますが、近年ではヘリコプターやドローンによる農薬散布の方法も確立されつつあります。
手作業で虫を取り除いたり、雑草をかる作業では、人手・時間ともに、手間がかかってしまいます。
農業の人手不足が懸念される中、手間がかからない点は、農薬の大きなメリットの1つといえるでしょう。

農薬を使うデメリット

食料の安定供給にためにも必要とされている農薬ですが、メリットがある一方でデメリットにも注目されています。

農薬の安全性や人体への影響の不安

農薬は病害虫を殺したり、雑草を枯らす薬剤であるため、そんな危険なものを使った農作物を人が食べても大丈夫なのかと不安に思う人が多いです。
実際は「農薬取締法」により、安全性が確認された農薬が使用基準に基づいて使われているのですが、農薬の安全性に疑問を感じてしまう事例があることも事実です。

安全性への懸念「ネオニコチノイド系薬剤問題」

有名な農薬問題で「ネオニコチノイド系農薬」という、殺虫剤に広く使われている農薬に関する事例があります。ネオニコチノイド系の殺虫剤を使い始めた1990年代に、世界各国でハチの大量死が確認されました。
この事実により、ヨーロッパをはじめとする外国では使用規制に動き始めたものの、日本では規制の動きが見られず、生態系や人体への影響が懸念されています。
このように、農薬は使い始めたのちに問題が発生することもあり、農薬への不安は拭いきれないといえるでしょう。

農薬取締法による登録農薬

農薬の安全性について考える上で、国がどんな基準で農薬の許可をしているのかを知っておくことも大切です。
現在使われている農薬は農薬取締法に基づいた「登録制度」によって厳しく管理されています。
その農薬がどの程度有効であるのかを調査し、毒性試験を行い、安全だと認められたものに使用基準が定められます。このときに農作物への残留農薬についても調査されています。
その他にも土壌への残留農薬や、動植物への影響・水質汚濁への影響が調査され、全ての条件を満たした農薬にのみ、農林水産大臣からの使用許可が得られるようになっています。

やっぱり無農薬?納得のできる食の選択を

農薬のメリット・デメリットを知り、どんな食品を選ぶのかはあなた次第です。
メリットとして上げていることは、生産者側にとってのメリットが多いようにも感じますが、手頃な値段できれいな野菜をいつでも買えるという点では、消費者にも大きなメリットになります。
デメリットである安全性について不安を持ってしまうのであれば、やはり「無農薬」を選択するのがよいでしょう。
食品に対して何を重要視するのかを明確にして、納得のできる食生活を送ってくださいね。

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